腸は重要な免疫器官

腸の免疫力

腸はきわめて大きな免疫器官で、以前から小腸と大腸の間にあるバイエル板には、最大の免疫中枢があると考えられてきました。

さらに最近、バイエル板以外の部分からも脳内ホルモンと同じような物質が分泌されることがわかり、脳の指令を受けなくても、腸それ自体で免疫機能をつかさどっている事がわかってきました。
この独立した働きにより、腸が第二の脳といわれ、体の中でもとくに重要な器官のひとつです。

腸の中には、約100種類100兆個もの腸内細菌がいます。
この腸内細菌は、善玉菌と悪玉菌、そのつどどちらか強いほうにつく日和見菌の三つに分けられ、もちろん、善玉菌が多いと免疫力が高まります。

日本人の腸は、もともと低脂肪・高繊維の和食に適応してきたので、欧米人に比べて腸管の組織が柔らかいのが特徴でしたが、高脂肪・低繊維の食事が主流になるにつれて、腸管のかたい人がみられるようになってきました。

また、大腸の下行結腸と直腸の間にあるS字状結腸は、腸の内容物の運搬速度を加減するクッション地帯のようなもので、これが短くなってくると排便回数が増え、1回あたりの便量が減ります。
近年、大腸の中でもS字状結腸にガンができる割合が増えています。
日本人の腸は、脂肪のとりすぎに加え、ストレスや睡眠不足などで日々痛めつけられています。
当然、悪玉菌が増え、免疫力は弱まっています。



腸を元気にして免疫力を高める

実際に腸内の善玉菌を増やし、免疫力を高めるにはどうしたらよいのでしょうか。
まずは、腸を休めることです。
ただし、腸を休めるといっても、お粥のような消化の良いものだけを食べるなどして腸を甘やかすことではありません。
消化の良いものばかり食べていると、腸はかえって弱くなり腸の粘膜が萎縮して、退化していくのです。
腸は、常にいろいろな食べ物が通っていることで元気になるのです。

特に食物繊維をたくさんとるようにすれば善玉菌が増え、腸の調子がよくなると共に、大腸がんのリスクが減ります。
食物繊維は腸内細菌のエサになりますが、とりわけ善玉菌のエサになります。

十分な睡眠も、腸を休めるのにはきわめて有効です。
腸は自律神経の影響を受けているので、睡眠不足による自律神経の失調は、腸の不調を招きます。
実際、過敏性腸症候群や大腸がん、潰瘍性大腸炎などは、欧米や日本などの、いわば夜更かし国で増えています。
本来のリズムを無視した生活は、体に大きなストレスを与えます。

もう一つ、腸を休めるためには、「頭寒足熱」を心がけると良いでしょう。
腸は、脳とは逆で冷やした状態ではよく働かず、温めると調子がよくなります。
特に普段から胃腸の弱い人は、夏場でも腹巻などをして、お腹を冷やさないようにするのが大切です。
きつい下着や重たい寝具も体を圧迫して腸の血流を悪くするので、おススメできません。

腸の悲鳴に耳を傾け、上手に腸を休めれば、必ず免疫力は高まります。

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