植物・野菜の抗酸化物質で活性酸素除去

紫外線が当たると、植物や動物の体内で活性酸素が増加します。
この活性酸素は細胞も老化を進め、がんなどの病気の原因になります。

人間も紫外線を浴びすぎると、肌が老化し皮膚がんも発生します。
植物も同じです。

人間は、服を着て、傘をさしたり、室内に移動したりして、紫外線を浴びる量を減らすことができますが、植物は動くことができないので紫外線から逃れることができません。

太陽光を葉にうけて、光合成する植物にとって、太陽光は大切ですが、ほとんどの植物が使える光の強さは、1/3くらいです。
太陽の直射光線、約10万ルクスのうち、多くの植物は3~4万ルクスまでの光しか使えず、それを超える太陽エネルギーは、植物体内の活性酸素を増加させます。

そこで植物は生き延びるために、紫外線を浴びて発生する活性酸素を抑える様々な物質をつくり出すことに成功しました。
その代表的成分がビタミンCビタミンEです。

これらの成分は、生育調整に必要ですが、一番大切な働きは、体内で活性酸素を消し去ることです。

花や果実、果皮に多く含まれる、カロテン、リコピン、アントシアニン、ケルセチンなどの色素やポリフェノールも活性酸素を抑える役割を担っています。

こうした、活性酸素を除く成分を抗酸化物質と呼び、活性酸素を抑え取り除く働きを抗酸化作用といいます。
野菜や果実が、よく老化防止などに良いと言われる所以です。

また、花びらの鮮やかな色は、昆虫を呼び寄せて受粉させる役割だけでなく、繁殖にとって大切な、雄しべや雌しべも活性酸素から守っています。
果実の色づきも同様にタネを守っていると考えられます。

私たち人間や動物は、こうした抗酸化物質を独自につくり出すことができません。
植物から摂取し、体内で発生する活性酸素を取り除いて、命をつないでいるのです。

つまり、人間や動物は、植物・野菜自らが生き抜くためにつくり出している貴重な成分によって守られているということなのです。

アブラナ科野菜で活性酸素除去

抗酸化物質をタップリ含む野菜

身体のサビつきを防ぎ、体内年齢を若くする野菜

アメリカでは30年以上も前からアブラナ科の野菜とガンについての研究が盛んに行われててきました。そして、アブラナ科の野菜に含まれるインドール類(植物ホルモン)が、発ガン性物質を解毒する働きをもつことがわかりました。特に大腸ガンと乳ガンを予防することがわかり、しかも、多くとればとるほど効果が高まることがわかりました。

アブラナ科の野菜共通に含まれている成分として、インドール類のほかに、葉緑素、カロテン、イソチオシアナート、グルコシノレイト、ジチオールチオニンなどがあり、これらの成分も抗ガンに働くとされています。

活性酸素を無害化することによって、体のサビつきを防ぎ、老化の進行を止めてくれるだけではなく、ガンを防ぐ特効食にもなっています。

キャベツ

主なアブラナ科の野菜



イソチオシアナート(辛味成分)が解毒酵素の働き高める

イソチオシアナートは特にキャベツに顕著で、配糖体という形で含まれています。

肝臓には、体内に入った発がん性物質を解毒する酵素がありますが、イソチオシアナートは、酵素の働きを助けて、発ガン性物質の活性化を抑えてくれます。

また、活性酵素を消去する抗酸化力も強力で、ガンになる前の異常細胞が増殖するのを防止する働きもあるとされています。

これらの働きは、ニンニクの臭い成分でアリシンと同様の作用であるため、アメリカでは、ニンニクに並ぶ抗ガン食品としてキャベツをあげているほどです。

なおキャベツには、同じ抗酸化作用のビタミンCも比較的多く含まれています。葉の外側と芯側では含有量が違い、外側の葉は、100g中55.4mgの含有量はですが、中の葉は39.6mgに減り、芯のすぐそばの葉では51.4mgに増えます。したがって外の葉や芯の近くのまで使うようにすると、ビタミンCを効率良く摂取することができます。

アブラナ科の野菜は水なしで蒸す

抗ガン成分の1つであるインドール類は水溶性のため、煮たりゆでたりすると、汁の中に約半分が失われてしまうことが報告されています。できれば水なしで蒸す(または、電子レンジでチンする)調理法が最適です。

この方法なら、同時に含有しているビタミンCの損失も少なくてすみます。