活性酸素による弊害

活性酸素が増加すると細胞が老化します。
老化の原因の1つは、細胞が酸化し、さび付いてしまうことです。
活性酸素が増えれば増えるほど細胞や血管はサビてもろくなり、老化が進みます。

細胞を覆う細胞膜は、活性酸素の害を受けやすい不飽和脂肪酸を含みます。
活性酸素がたまると、これが酸化し細胞が壊れ、免疫力が低下してさまざまな生活習慣病を招くリスクが高まります。

活性酸素によって細胞に傷がつくと、ガンが発生しやすくなる

活性酸素によって酸化した細胞は、多くのダメージを受けます。生命にかかわるガンも、酸化された細胞が傷つくことで発生すると考えられています。

傷ついた細胞の細胞膜は、膜としての機能を十分に果たせなくなります。そのため、ガンを発生させる物質が膜を通り抜けて細胞内に入り込んでガンを発生させるといわれています。

また、酸化作用の連鎖が細胞の核まで及ぶと、DNA(遺伝子)が傷つけられることになります。そうなると、身体の中で行われているさまざまな働きや遺伝子についてのデータが、破壊されたり、狂ってしまいます。

その結果、代謝にかかわる重要な働きをするタンパク質がつくられなくなって、細胞の代謝に異常が生じたり、ガン細胞に変質してどんどん増殖するともいわれています。
さらに、本来は無害な成分が、酸化作用の影響で変性し、発ガン物質になるという指摘もあります。

このように活性酸素は、DNAを傷つけて細胞に突然変異を起こさせ、ガンを発生させる危険性があります。

動脈硬化の原因にもなる活性酸素

動脈の血管内壁に傷や付着物がつくと、血管内が狭くなり、血管そのもの硬くなって柔軟性がなくなります。すると、血液がスムーズに流れなくなったり、詰まりやすくなります。これが動脈硬化です。

動脈硬化が起こると、脳や心臓に血液がうまく届かなくなり、生命に危険が及ぶ脳卒中や心筋梗塞へとつながっていきます。

この動脈硬化のきっかけをつくるのが活性酸素なのです。食品から摂取した脂肪が多すぎると、体内で消費されずに余った脂質が血液中にあふれます。

体内に発生した活性酸素は、血液中のLDLコレステロールを酸化させます。

この余った脂質に活性酸素が飛びついて酸化させ、過酸化脂質である酸化LDLに変質させます。

酸化LDLは、血管の内皮細胞に入り込みますが、マクロファージという細胞に食べられます。
しかし、マクロファージが死ぬと、ドロドロした酸化LDLとなって血管壁の中に流れ出し、固まりになって血管内を狭くするのです。

シミや白内障も活性酸素によるサビが原因

活性酸素は肌に紫外線が当たっても発生します。肌の場合、細胞が酸化されるのを防ぐために、チロシンと呼ばれるアミノ酸が、細胞の身代わりに酸化されます。この酸化によってできるのがメラニン色素です。メラニン色素は、肌の細胞の新陳代謝とともにしだいに排出されますが、シミとなって肌に残ってしまうものもあります。

また、紫外線にさらされることの多い肌は、老化しやすく、シワも目立ってきます。これは皮膚の真皮に含まれているコラーゲンやエラスチンといった、肌に張りや弾力を与えている成分が、活性酸素によって酸化されるためです。成分の変質で張りや弾力が保てなくなった結果、肌は老化しシワができるのです。

目にも紫外線が当たるため、活性酸素が発生します。活性酸素は、眼球に含まれえている不飽和脂肪酸を酸化して過酸化脂質に変え、それが水晶体や網膜に付着するため、白く濁ってよく見えなくなるのが白内障です。



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