高齢期の栄養の取り方

65歳以上の高齢期になると、筋肉量や骨量が減り、基礎代謝量が低下します。
加えて運動量も減ってくるので、必要なエネルギー量は少なくなります。

一方で、健康維持のために必要なタンパク質ビタミン、ミネラルなどの摂取量はこれまでと変わりません。

つまり、必要な栄養素を取りながらも、エネルギー量を抑える食事に変えていく必要があるということです。

高齢になって心配なのは、消化機能の低下などによって食欲不振になることです。

食べられなくなるとエネルギーや栄養素が欠乏して低栄養となり、疲れやすくなったり、免疫力が低下したり、時には命に関わることもあります。

食欲がないときは、料理の味付けや彩りなどを工夫してみると良いでしょう。

この年代は、消化機能だけでなく、味覚や臭覚も低下したり、歯が欠落するなど、食事に関する機能が低下します。

また、病気治療による食事制限がある人も多いので、個々に見合った食事をとることが重要です。


骨の健康を保つため、積極的にカルシウムを!

加齢にともないカルシウムの吸収率が低下し、骨が弱くなります。

骨粗鬆症や骨折予防のため、牛乳や乳製品などから積極的にカルシウムを補うようにしましょう。

カルシウムの吸収をサポートするビタミンDと一緒に取ると効果的です。


糖分・塩分控えめに、糖尿病や高血圧を予防

高齢になると血糖値を正常に保つ働きが低下するため、糖尿病になりやすくなるほか、味覚の変化により濃い味付けを好むようになり、塩分の取り過ぎによる高血圧を招きやすくなるのでいずれも摂取量を控えめにすることが大切です。


こまめな水分補給で脱水症状を防ぐ

のどが渇いたことに気づきにくくなるので、脱水症状起こすリスクが高まります。

水分を食事の前後に取るほか、朝起きた時や就寝前、入浴前など、こまめに取るようにしましょう。

特に夏場など、水分を失いやすい時期は、より意識して取ることが重要です。


欠食しないよう1日3食をきちんと取る

必要となるエネルギーは年齢とともに減ってきますが、必要な栄養素、特にビタミンやミネラルの量はあまり変わりません。
3食欠かさず取って補うことが大切です。

場合によっては、サプリメントなどの栄養補助食品などを利用するのも1つの手段です。


歯をしっかりケア、よく噛んで食べる

よく噛むことは、脳細胞を刺激して脳の老化防止につながります。

高齢期は歯を失いやすく、食事もやわらかいものに偏りがちですが、入れ歯を使ったり、残った歯のケアをしっかりし、よく噛んで食事をするように心がけましょう。


調理は工夫して食べやすく

噛む力が衰えてしまったり、嚥下(飲み込み)機能が低下してうまく飲み込めない場合は、調理に工夫をしましょう。

すりつぶしたり、流動状にする、とろみをつけるなどして食べやすい状態にします。

噛み切りにくいものなどは、窒息の危険性もあるので注意しましょう。


高齢期の体の変化

  1. さまざまな代謝機能が低下します。
  2. 消化・吸収機能や味覚・臭覚が低下します。
  3. 歯の損失により、かたいものが食べにくくなります。

高齢期の味覚の変化

味覚をつかさどるのは舌にある味蕾(みらい)という小さな器官で、主に甘さと塩辛さを感知します。

高齢になると味蕾が減少するため、甘さと塩辛さを感じにくくなり、苦味や酸味だけを強く感じてしまうようになります。



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