しそ油・えごま油の効能

ガンの危険因子の一つに植物に含まれるリノール酸の摂り過ぎがあります。

食用油脂の分類として大別すると動物性と植物性の2つに分けられますが、含まれている脂肪酸の性質から分けると次の3つのグループに分類することができます。

  1. 飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸が多く含まれる油脂
    ラードやバターなどの動物性油脂やオレイン酸が多く含まれているオリーブ油など。

  2. リノール酸が多く含まれる油脂
    リノール酸は植物がつくる脂肪酸で、種子に蓄えられます。
    ごま油、コーン油、大豆油などの植物性油。
    リノール酸は、体内でアラキドン酸などに変化します(これらの脂肪酸をn-6系列と呼ぶ)。

  3. α-リノレン酸が多く含まれる油脂
    α-リノレン酸は、植物の葉や根の部分に比較的多く含まれます。
    しそ油やえごま油など。
    α-リノレン酸は、体内でエイコサペンタエン酸(EPA)、次いでドコサヘキサエン酸(DHA)に変化します(これらの脂肪酸をn-3系列と呼ぶ)。

ガンは、体内の炎症が長く続くと、まずガンが発生しやすい高ガン状態をつくり、やがて発ガンに至ります。
炎症というのは、発熱、発赤、はれ、痛みなどをさします。

炎症が長く続くと、炎症を起こしている細胞から活性酸素がたくさん出て、細胞の遺伝子を傷つけてしまいます。

また、炎症に伴ってエイコサノイドやサイトカインなどの炎症性メディエーター(発ガンの仲介をする物質)が多量につくられ、それらが障害を受けた細胞の増殖を促し、発ガンに至らせます。

なぜ、リノール酸がガンの危険因子かというと、体内でアラキドン酸に変わり、このアラキドン酸が各種のエイコサノイドを産生するからです。

例えば、エイコサノイドの一つであるプロスタグランディンE2が過剰になると、免疫系が抑えられ、ガン細胞が増殖しやすくなります。

逆に、プロスタグランディンの産生を抑制する抗炎症剤を用いると、ガンを抑えられます。

そして、α-リノレン酸系列の油は、抗消炎剤と同じ様に、エイコサノイドの代謝を抑える働きがあります。

α-リノレン酸のガン抑制効果を示す動物実験で、大豆油やベニバナ油などリノール酸の多い油に比べ、α-リノレン酸の多いしそ油は、腎臓ガンと大腸ガンの発ガン率を押さえ、乳ガンの個数を抑えたという結果があります。

また、ガンの転移についても、リノール酸は転移を促進し、α-リノレン酸系列の油は、転移を抑制することがわかっています。
しそ油、EPA、DHAいずれについても、ガンの転移を抑制する効果が確認されています。

ガンの発生や転移を防ぐには、リノール酸とα-リノレン酸の摂取比率が大切で、理想はリノール酸とα-リノレン酸の割合が2対1です。

α-リノレン酸は、含まれている食品が限られているので、市販のしそ油やえごま油を活用するのが簡単でおすすめです。