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養生・薬膳の名著。
飲膳正要は、元の時代(1279~1368年)の宮廷の太医である、忽思慧(ふうしけい)が作った薬膳の名著です。
中国では、現在でもこの本を、養生・薬膳の最高の著作と崇めています。
忽氏は、宮廷の「飲膳太医」(病気予防医)に任命されましたが、皇帝たちは皆短命で、彼が任期中の十数年の間に、4回も変わりました。
彼は、皇帝たちが好き放題で養生しなかったことが原因と考え、この本を作って献上し、間接的に諫言(目上の人の過失などを指摘して忠告する こと)しました。
本の献上文に、忽氏は、元の時代を開いた初代皇帝・フビライの、長寿の原因を分析した結果を載せています。
その献上文によれば、フビライは、4人の飲膳太医任命し、古くから伝えられてきた薬物の中でも、無毒でしかも飲食と食べ合わせが良い滋養薬材を選び、調味させるなど、食事の管理を大変厳しくして、身体を大事にしていたということです。
しかし、元の国土が広がり、各国・各地からの珍味の献上が数え切れなくなるほど届くと、後の皇帝たちは珍しい食物に惹かれるようになり、健康管理を忘れ、それが体調を崩す原因になった可能性があると考え、この本にまとめたと述べています。
飲膳正要は、皇帝に献上された後に、少部数が印刷されました。
その原本は、元の宮廷に秘蔵され、大事にされました。
元が滅びると、原本は明の宮廷に収蔵されていましたが、1456年、明の皇帝はこの本の出版を許し、自らの序言を書いて、世間に公表しました。
忽思慧のレシピは、現在でも中国の多くのレストランで使われ、薬膳の元祖とも称されています。