備急千金要方(びきゅうせんきんようほう)

漢方の名著

備急千金要方は、中国の唐の時代(618~907年)の名医、孫思邈(そんしばく)という人が作った漢方の名著です。

孫氏は、漢方医薬に精通し、経済、歴史を始めとした様々な学術、さらに仏典を広く勉強し、豊富な知識を持っていました。

そして彼は、唐の時代以前の臨床経験と、医学理論を総括し、様々な処方箋を収集し、鍼灸などの内容も取り入れて、本にまとめました。

備急千金要方は、中国で初めて、食材と薬は別のものとし、その薬用効果紹介した書物です。
また、医学の名著として、後世の漢方医にも崇められており、必読の教科書となっていました。
ところが残念なのは、多くの医者が、その著作の中の数え切れない処方箋にばかり目を向け、治療の研究にのみ専念したため、この本に示されている病気の予防についての様々な知識を見過ごしたことでしょう。

孫思邈は、若いときに病弱であったため、医学を勉強するようになり、後に名医になりました。
そして彼は、102歳まで生きたとされています。
平均寿命が40歳の千数百年前の時代に、彼の長寿は大変珍しいことだったといえるでしょう。

これは、彼が養生を大変重視し、無欲(唐の時代の皇帝は、彼を高官に任命しましたが、彼はそれを断っています)だったこと、また心が広いことも関係があるといわれています。



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