にんにく

免疫力を高める効果が最も高い食材の代表といえば、それはにんにくでしょう。
にんにく栽培の歴史は古く、古代エジプトではピラミッド建設に従事した労働者に体力増強の目的でにんにくや玉ねぎが支給されていたといいます。

また紀元前400年頃には、「西洋医学の父」と呼ばれるギリシャのヒポクラテスがにんにくの効用を説き、紀元1世紀に活躍し、「薬物誌」の著者として後世に名を残した医者のディオスコリデスもにんにくの効用を説いています。

日本では「本草和名」にもその名が見られ、源氏物語には薬用に用いたという記述があります。

にんにくといえばスタミナ、手軽に元気を出せる、この食材のパワーの源は独特の臭いにあります。

にんにくの強烈な刺激臭の素は硫化アリルのアリシンによるもので、強い殺菌力は食品についた細菌をはじめ、体に侵入した風邪などのウイルスさえ殺すといわれるほどです。

ニンニク

加えて、ビタミンB1の吸収を高めて新陳代謝を促進、体力アップや疲労回復の作用があることもわかっています。

糖質の代謝を促すビタミンB1は、脳の神経細胞の働きを正常に保ち、精神を安定させます。
ビタミンB1が不足すると食欲が減退したり、不眠を招くこともある大切な栄養素です。
通常は、摂りすぎると排泄されてしまいますが、アリシンと結合してアリチアミンという形になると、血中に長くとどまり、効果を持続してくれます。
にんにくに滋養強壮の効果があるのは、このアリシンとともにビタミンB1を豊富に含むことによります。

にんにくに含まれるガルリシンは、がんの発生を抑え、抗菌作用を持ち、コレステロールを下げるなど、さまざまな効果がいわれています。

にんにくは、老化防止や腹痛、解毒作用などにも効果があり、殺菌作用もあることから「畑の抗生物質」ともいわれています。

にんにくにはほかにもタンパク質や脂質の代謝を促し、抗体や赤血球を作るのに欠かせないビタミンB6や、抗酸化力の高い微量ミネラルのセレンも含まれるなど、幅広い健康効果、効能があるので積極的に活用したい食材です。

にんにくの成分



確認されているにんにくの効能

  • ガルリシンは、T細胞を活性化させ、免疫力を高める作用があります。(ただし、ガルリシンの濃度が高くなりすぎると逆に、T細胞の活性化を抑制してしまいます)
  • にんにくに含まれる特殊成分のスコルジンは、新陳代謝を活発にする酸化還元作用があり、食べたものを完全に燃焼させ、エネルギーにする働きが大きく、ホルモンの分泌を刺激して血行を良くする作用もあって、直接的な強壮効果を発揮します。
  • にんにくには、抗酸化作用があり、老化防止効果があります。
  • 殺菌効果が高く、抗微生物、抗伝染病の効果があります。
    また、結核菌、皮膚真菌などの病原菌を殺す作用もあり、広域スペクトル抗生物質(多くの菌に対して広い範囲で作用する抗生物質)といわれています。
  • 血小板が固まるのを防ぎ、血液をサラサラにします。
  • にんにくは、動脈硬化を予防します。
  • 肝臓を保護し、肺を守り、気管支炎や喘息などの症状を改善させます。
  • にんにくは、脳細胞を活性化させます。
  • にんにくに含まれる揮発油は、大腸菌に対して強力な殺菌作用があり、特に紫色のにんにくは、抗菌作用が極めて強いことがわかっています。
    この作用は、胃腸炎や下痢、赤痢などの治療に、効果があります。
  • にんにくの揮発油の中に含まれる硫化物の混合物は、血液の脂肪値が増えることを防止します。
    また、血清コレステロール、血漿フィブリノーゲン、主動脈の脂質含有量を低下させます。
    しかも、血管壁へ脂質が沈着することを防止します。
    これらの効能により、にんにくは、高血圧、高血糖、高脂血症、冠動脈の血管軟化等の病気に対する治療効果が、期待されます。
  • にんにくから抽出した養分は、胸腺や脾臓の重量と、臓器の指数を高める効果があります。
    これは、にんにくが中枢リンパ器官と外周リンパ器官の細胞を増殖させる効果があるからです。
  • 一般的に、抗がん剤を使用すると、リンパ球の幼若化率(若返り)が低くなり、免疫力を低下させますが、にんにくには、それを回復させる効果があります。
  • にんにくには、出血を止める作用があり、特にカルブンケル(皮膚の化膿性炎症)に最適といわれています。
  • にんにくを水で煎じたものや抽出物は、抗がん剤による溶血素の生成能力低下現象を止め、正常値に戻す働きがあります。


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